出先でRAW現像できないようにした方が良いんではないか


 最近α6700を購入したことで、出先でのパソコン環境について考えを改める機会になっている。

 α6700は以前使っていたα6300よりも明らかに画質で上回っており、6300で「よく写るといえば写るんだけど納得がいかないなあ……」と思っていた、特に画質に対しての不満点がほぼ解消されていた。また画質以外の操作性などの点でも実に素晴らしく、動画カメラとしてもたいへん優れているので、旅カメラはもうこれ1台で良いじゃんという気持ちになっている。

 旅に作品写真を撮りに行くのであれば、もっと画質の上積みをしたい気持ちもあるのだが、メインはこのブログで記事を書くこと、紀行文を書いて挿絵にすること、と設定すると、そう大した画質は要らないのである。むしろ写真を撮ることに割り振る能力を減らして、現地の風を感じ、そのへんにいる人達に目と耳をこらさなければ後で紀行文にはならないから、手軽なカメラのほうが嬉しい。

 α6700は画質の妥協点をちゃんと超えており、USB-Cポートを搭載していたり小型軽量であったりレンズも使いやすいものが揃いそうだ、というので旅カメラはしばらくα6700で統一する気になった。

レンズは現在まだ検討中で、ボケを見せるためのレンズにリソースを集中するのは意味がないのでは? と思うようになってきた。

 それに伴い、出先旅先で使ってきたノートPCに期待する性能、機能も、もっと引き下げてしまって良いだろうと考えている。

 これまでは業務として出張撮影をすることが多々あったから、出先で使うノートPCを決定する際、

  • 可能な限り軽く小さくあって欲しいが
  • 撮影したRAWデータを滞りなくバックアップ出来て
  • 可能ならRAW現像も出来てしまうもの

 という選び方をしており、結果として中途半端な性能のものになりがちだった。もともとノートPC、ラップトップコンピューターというもの自体が、デスクトップを主体で使う人間からすれば性能も使い道も中途半端なものだ。

旅先でRAW現像するべきか?

 改めて考えてみると、旅先でのRAW現像は過剰だったのだと思う。

 自宅のデスクトップPCは照明含め最も安定しており、旅先でのデータチェックはどれだけ頑張ってもそれと比べると中途半端なものにしかならないのが分かり切っているにも関わらず、暇さえあれば開いて見て、あわよくばRAW現像までしてしまいたくなる。これがいけない。

 出先でするRAW現像は、自宅に帰ってデスクトップ環境で開くと、「分からんでもないが甘いから使い物にならない」のがほとんどで、やるだけ無駄である。

 このようなことから、旅先ではRAW現像ができないようにしてしまったほうが良さそうだ、という結論に達し、ノートPCはテキスト打ちしかできないような機能が限定的なものにする方向で検討を始めた。

 当初はこのブログでも話題にしたキングジムのpomeraというテキスト打ち専用機が使ってみたかったのだが、だいたい4万円する価格にひるんだのと、あまり丈夫ではないという評判が多く、また一応RAW現像はしないまでも、撮影データのバックアップだけは出来た方が嬉しいので、pomeraは候補から外れた。

 そこでGoogleが作っているChromeOSというLINUXベースのシンプル軽量なOSを試してみることにした。

 以前出先用に使っていたLeovo ipdeapad 710Sという薄型ノートPCにChromeOS Flex(ChromebookでないPC用のChromeOS)をインストールして使ってみると、このほどよく機能限定されているがサクサク動くPCというのが、スマホやタブレットの延長のようで心地良い。

 とにかく起動が速く、スリープからは公称の6秒を本当に達成しているように見えるし、再起動してもWindows機より明らかに速い。マウスやタッチパッド、カメラなども全く問題なく動作するから大したものである。

 Chromebookはほとんどの作業を普段使っているWindows版と同じように動作するChromeOS版のChromeブラウザで行い、一応ローカルでのファイル保存もできるが補助的な役割である。アプリもあるがブラウザでできることばかりなのでChromeブラウザさえあれば良い。

 外部のドライブはSDカードやSSDなど特に問題なくUSBで接続できるので、写真を撮ってきてバックアップするまでは滞りなく可能であるし、どうしてもRAW現像したければPolarrというソフトが対応しており、できないこともない。どのみち出先かつノートPCのモニターのような不安定な環境では厳密に出来ないから、この程度で十分である。

 小さな問題として、EXIFに記載された日付時刻がGMTの補正を無視してグリニッジ標準時での表示になってしまうらしいこと、また普段Lightroomで「日付+オリジナルファイル名」と自動的にリネームしてもらう仕様にしているのがChromeOSでは出来なそう、コピー先フォルダに同名ファイルがある場合、無言で上書きはしないものの無言で(1)付きのファイルを生成してしまう、といった点があるが、このあたりは慣れである。

 とにかく旅先で余分なPC作業をしないように手を縛るという意味では最も限りなくベストに近い選択になりそうなので、たとえば1週間を超すような出張でもない限り、ChromeOSで済んでしまいそうだ。身軽になると、それだけで心も軽くなるような気がするから、カメラ機材も含めスリム化は素晴らしいことである。


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