高速道路でふと思ったこと


 こんにちは。

 先日、高速道路を走っていてふと思ったことがありました。金沢から帰ってきた時のことです。

 車を運転していたところ、前にプリウスが来たんですね。
 プリウスは私見ですが車や運転に興味がない人が買いがちな車でありまして、人間というのは興味がないものに対しては深く知ろうとしませんし、できるだけ無駄を排したいと思うので、そういった人が趣味で運転することはないと思います。

 私自身は車の運転を24歳くらいからしていますが、あまり興味がある方とはいえません。

 しかし一時はアルバイトなんですが4tトラックのドライバーとしてルート配送をしていたこともあり、他の車がどうなっているか、どう動こうとしているか、というのはけっこう見る方だと思います。

 ふだん高速道路を運転していて思うのは、一見アホそうに見えるヤンキーなんかの方が運転については周りを見ていたりするということ。これは車が好きなヤンキーが多いことが影響している気がするんですね。

 逆に、普段真面目にやっていそうな、そして日曜だけ運転するような人というのは運転が散漫になりがちだったり、車外よりも車内の事情に意識が行っていて周りを走っている車の配置やなんかには意識が行っていないな、というのをよく見かけます。

 不安定な運転をする人というのは、車の運転に興味がないことが多く、また興味がないから家族をどこかに運ばなければならない日曜日だけ運転する、みたいなことになり、それはつまり普段運転しないということなので余計に不慣れなままであり……という悪循環に陥りやすい気がします。

 その中でもプリウスはハイブリッド車であり、運動特性がガソリン車とはちょっと違うことも相まってか、周りに馴染まない運転をする人が多く、その日もちょっと注意しながら後ろを走っておりました。

 すると、高速道路の2車線が工事で規制され、一車線のみになりました。

 私はプリウスの後ろにいますから、強制的に前のプリウスの速度の加減に合わせて走るしかありません。

 見ていると、かなりのスローペースなので、私の後ろにどんどん車が溜まっていくんですね。
 しかもスピードの増減がけっこう激しい。同じ制限速度のところをプラマイ40km/hくらいの幅で速く走ったり遅く走ったりしています。
 私は「困ったもんだなこいつは」と思いながらも、車間距離を詰めても良いことはありませんからそっと車間距離を空けて走っておりました。

 しばらくして工事区間が終わり、プリウスは左車線に入り、制限速度以下で走っていたので追い越し車線から追い越しました。

 なんとはなしに、どういう人が運転しているんだろうとプリウスの運転手を見たところ、外国の方だったんですね。

インフラに対する信頼

 ブラックライブズマターだのがかまびすしい世の中で、肌の色と運転を結びつけることがよろしいのかよろしくないのかはアレなのですが、その時私は運転手の顔を見て「なるほど」と感心した部分があったのです。

 そのドライバーは運転に不慣れということもあったと思うのですが、それ以上に道路工事を信用していなかったのだろうなと思ったんです。
 当人が安全と思った時だけスピードを上げ、危なそうだと思ったらスピードをぐっと落としたのだなという。

 これは逆にいえば日本人がインフラ全般に対して信頼性が高いことを浮き彫りにしているなと思いました。

 日本のドライバーであれば、片方の道を工事で規制していようが、工事の様子がよほどおかしくなければ、一定の速度で走り抜けることにためらいがないと思います。

 しかしそれは考えてみれば、工事がまともに管理されているのが前提になっているということですよね。

 例えば路上にスコップが投げ出されていたり、下手をすると大丈夫なはずの車線のアスファルトが剥がされていたり、最悪のパターンでは道路が突然なくなっていたり、というようなことは、日本の工事現場ではまず目にすることがありませんが、日本から一歩出ればそういうことはニュースでちょいちょい飛び込んできますし、実際私もよその国へ行って管理の適当さは目にするところであります。

 昔から「道路を見るとその国のレベルがわかる」というのはよく言われていることですし、それは道路工事をしている人のレベルでその国のレベルが分かるということでもあるのでしょう。

 プリウスの運転手は、穿ち過ぎな見方かもしれないのですが、道路工事をしている人たちを信頼しきれず、片側の車線が規制されているのに対して慎重に走った、ということなのだと思います。

 逆に私や私の後続のドライバーたちは、日本のインフラ力を信頼しきっているから、彼らが示した規制中の制限速度そのままで走ってしまえるし、下手をすると工事規制中の制限速度どころか、もっと速いスピードで駆け抜けていこうとする人も珍しくありません。そこまで行くと信頼というよりも甘えだと思いますが。

可能性としては

 可能性の問題で考えると、高速道路がスパッといきなりなくなっているようなこともないとはいえません。中国ではよくあることのようですが、日本でも自然災害やなにかで道路がない、という事態がないとはいえません。

 またプリウスのドライバーが懸念しているような、工事関係者がまともに仕事をやっていないということもあるかもしれません。

 しかし、日本が凄いのって「そこを考えてスピードを落として効率を下げる必要がない」ところだと思うんですね。

 平和ボケ日本であることは間違いないですが、同時に平和である、安全である、他人をわざと傷つけようとする人間が統計上明らかに少ないから対策するコストが安く済むというのはあらゆる面で日本人を得させています。

 私は「泥棒がいなければ鍵のコストが要らない」と考える人間でありまして、ドラえもんの世界でいえばすぐにどくさいスイッチを押してしまうタイプなので社会性に乏しいと自認していますが、実は日本は日本人全体が平均として非常に勤勉で、安全のために全員で少しずつ犠牲を払えるおかげで、結果として全員が得をしている状態だと思います。

 今回の高速道路工事の件にしても、信頼できないのであれば走行スピードはどんどん落とさざるを得ませんから、おかしな渋滞が起きたり、実際にそうしたミスが原因でつまらない事故が起きることもあり、そうなるとまたいらん渋滞が起きて着くはずだった時間に着かず時間を無駄に……となります。社会全体の損失ですよね。

日本=清潔

 新型コロナウイルスの一件でも、なぜ日本では感染が広がらないのか! と不思議がる人がたくさんいるのですが、日本は清潔だから、というのが大きな理由として挙げられると思うんですね。

 でも高速道路の件で例えるとすれば、日本の高速道路工事がどれだけ安全管理を徹底して低い事故率で押さえていて素晴らしいかというのは、諸外国と比較してみなければ分かりませんし、なぜか新型コロナウイルス関連でメディアに出てくる人たちは数字をベースにしないで、情緒のみでものを言う傾向が強いようです。

 それはまあ、大人の事情というやつで、メディアは不安を煽った方が自分たちの情報を見る人間が増え、入ってくるお金が増えるからやっているだけのことなのですが、冷静、冷徹に比較することが大事だよねと思います。

 実際、パリの地下鉄って、乗ってみるとどこを触っても「ぬるっ」としているんですよ。

ぬっるぬるだけどかっこいい地下鉄

 地下鉄のドアは小さなハンドルが付いていて、そのハンドルを上げると自動で開いてくれる半自動ドアなのですが、そこからして中華料理屋の床かというくらいぬるぬる。

 手すりもぬるぬる。座席もぬるぬる。窓もぬるぬる。潔癖症の人は発狂するレベルです。実際、パリの衛生関係の役所が細菌、バクテリアの数を調べたら、地下鉄内は地上の10倍ほど不潔だったそうです。

 写真を撮る上ではまたいつでも行きたいくらいパリ最高ですが、衛生という点ではちょっとねえ……。

右奥のドアにハンドルがついているのが見えます。

 しかし日本でメディア越しに見ていると、そういう情報はなかなか手に入りません。私がやりたいのはそのへんなんですよね。

 今はジャーナルブログをやっているので、次にどこかへ行った際は、よりそういった違いが浮き彫りになる情報を拾い上げたいと思います。

 パリの地下鉄が汚いからといって、パリが撮って最高に楽しい街であることには変わりなく、それは優劣ではなく違いでしかない、という風に思います。違いを楽しめるのは大人ですね。日本偉い! でも日本カス! でもなく、そのあたり淡々とやりたいなと思います。

 それではまた。


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