日光東照宮


 日光東照宮に行ってきた。

 東照宮は日光だけでなく関東を中心にあちこちにある。恐らく徳川家康を文字通り神格化することで江戸幕府を盤石にしようという思惑があったのだろうなあ、と歴史に興味がないなりに考えてみるものの、実際に私が撮りに行ったのはそのギラついた木製の彫刻群であり、それを彫り込んだ職人たちの執念である。

 西東京の自宅から車に乗り、東北道から日光道を経て東武日光駅あたりから混雑が始まった。
 折しも中禅寺湖では紅葉が始まっており、なおかつ政府の旅行奨励キャンペーンだかでえらい混雑だった。
 何はともあれ東照宮の駐車場に停めて境内に出ると、あたりはじっとりと湿った空気でじわりと手が冷える。

 修学旅行かなにかで来ている小学生たちに混じって陽明門まで上り、適当に現地集合することにしていた写真仲間たちに挨拶すると、あとはひたすら木工と彫金を撮りまくった。

 東照宮にいると、江戸っ子気質なのだろうか、とりあえず素人にも分かるようにド派手にぶちかましておこう、という良い意味での下世話さを感じる。分かる奴にだけ分かるようにやっているのでは神君の威光が伝わらないという判断なのかもしれない。とにかくひとつひとつが明快でエンターテインして来るのである。

 宗教だろうが芸事だろうが、とにかくまずは素人のハートを射抜かねば未来がない。怪力乱神に限らず、自らの権威で他人を威圧しようとすると、人はよくわからない理論を構築して「だから私たちは凄い」とやりがちなのだが、そんなものは身内にしか通じないのである。まずは派手にドーンとやるのが正解だ。

 清々しさを覚えつつ、2時間ほどの滞在で日光を後にした。


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