A-Rahoo Motorcycles・宇和島取材2022・その9


 宇和島取材も最終コーナーを回って参りました、第9回はハーレーをはじめ二輪車のカスタム、販売を行われているA-Rahoo Motorcycles(ラフーモーターサイクルズ)さんにお邪魔しました。

https://www.a-rahoo.jp/

 宇和島取材のすべての取材先のコーディネータをやって下さっているしげさんは元々ハーレー乗りで、代表の大原さんとはその頃からのお付き合いだそうです。

大原さん近影

 大原さん、柔らかい中にもガチっと芯が通っている良い男です。

 わたくし伴も若い頃は単車を転がしておりまして、アメリカン系ではありませんでしたが二輪関係というだけで「おお」と親近感と憧れの混じったような気持ちになります。バイクってとにかく良いんですよね。そういえばバイクに乗っていた時期と写真をやっていた時期が被っていないので、バイクの写真やバイクに乗っている自分の写真が一切残っていません。

 友人の空手家からスポーツや格闘技の場合は現役の時代が短いので余計に写真を残しておきたいと思う、と聞いたことがありますが、リアルタイムの感覚として「ただ日常生活の中でバイクに乗っているだけ」だとしても、写真に残しておくと10年後、20年後に効いてくるんですよね。老いも若きも、撮っておいて損はありませんからどんどん撮りましょう。

売買

 取材に伺ったのは2022年6月でありまして、新型コロナの影響でバイクの中古市場での価格がどんどん上がってしまっている、という話をあちこちから聞いている中でした。

 大原さんのところでは単に中古のバイクを扱うだけでなく、ビンテージとして価値があるものを扱われているので、値動きには敏感になるのだろうなという印象でした。ビンテージのハーレー、減ることはあっても増えることはそうそうないでしょうからね。

 実際、恐ろしい値上がり具合になっているそうで、数年前の倍以上の値段が付いているものも珍しくないし、それでも市場に出たら即座に売れてしまう、手付金を無理やり相手にねじ込んででも確約してもらわないと、途中でかっさらわれてしまうことも珍しくないんだとか。

 新車でメーカーから出るものであれば1,2年待てば状況が変わるかな、という気にもなりますが、ビンテージとなるとどう値段が動くか予測が難しそうです。バイクをカスタムする、整備するというメカ仕事の部分と別にバイク市場とも絡んだお仕事というのが興味深いところでした。

Z世代とライフスタイル

 お話によると最近ではいわゆるZ世代の若者もハーレーに乗る人が増えているそうですが、ハーレー乗り、特にチョッパーに乗る人といえば、ロカビリーを演奏する人がリーゼントになるようにライフスタイルごとハーレー乗りになるイメージと違い、遠慮なくハーレーのハンドルにスマホを付けたりするのだそうです。

 この「ハンドルにスマホを付ける」お話、ジェネレーションギャップと同時に、バイクがライフスタイルのものであるのか、それとも単に生活の一部を彩る嗜好品なのか、扱いのギャップを象徴しているようにも思えて面白かったです。

 バイクじたい、もともと便利は程遠い乗り物で、雨が降れば濡れるわ暑いわ寒いわ事故ればダメージを負いやすいわで、人口過密な都市部でのみ利便性優先で選択される乗り物です。最近では東京でもバイク駐輪場の不足から、下手をすると車より不便な場合があるといいますから、ある意味ではバイクの利便性は下がっているという見方すら出来てしまいそうです。

 ということは、バイクに乗っている人は不便な乗り物にわざわざ好きで乗っているわけで、利便性の権化であるスマホをバイクに乗っている時間に持ち込むかどうかで意見が分かれてしまうのも容易に想像できます。

 ハーレーと共にあることを人生の中心に据える暮らしを送っている人からすれば、とんでもねえ! ということになるのかもしれせん。
 ライフスタイルからハーレーに染まるということは、服から髪型から住む家からすべて、ハーレーにそぐう様式を求めるということですから、利便性を優先したくない、出来ないという人がいてもおかしくありません。ロカビリーの兄ちゃんたちは本当にリーゼントでアメ車に乗って、カノジョは水玉ワンピースでツイストを踊っていたりしますからね。あそこまで徹底的出来るのは尊敬します。

 ハーレーの中でも、特にチョッパーに関しては、二輪車業界の中でも単なる移動手段を超えたライフスタイルの象徴として扱われることが多く、だからこそ大原さん率いるA-Rahoo Motorcyclesのように、世界中に熱狂的なカスタムビルダーが林立しているわけですが、Z世代の若者は「いやライフスタイルとかじゃなくって」という感じで気軽に乗るというのが実に面白く感じます。

 私自身はハーレーに乗っているわけではありませんから、どちらの気持ちも分かるなあ、と思いつつ、逆に自分の服装から何から、ライフスタイルというものを持っているんだろうか? と振り返る良い機会になりました。服装ひとつとってみても、正直なところ楽な方に楽な方に流れているだけで、何のポリシーもないんですよね。

 それこそがおっさん化ではあるのですが、おっさんはおっさんで自分自身がなってみるとそれなりの理由があっておっさんらしい服装になっています。
 例えば初めて訪れたアメリカで、そのへんのおっさんがアメリカのドラマに出てくるようなジャンパーを着ているのを見て、またそのジャンパーが日本でいう洋品店みたいなところで普通に売られているのを見て、なるほど、と感心したのを思い出します。

 つまりおっさんの服というのは簡単に手に入る、着ていて楽、安いなどの合理性を優先して決定されるわけで、他人に対して自分の属性や性質を相手に伝えるためのもの、という機能は優先順位がたいへん低いわけです。

 おっさんになってみると、その合理性のみで選べる楽ちんさ、無責任さが気に入ってしまった部分もあり、今日も暑い中をうろうろするのに空調ベストで「ぶうーん」とモーター音を響かせておったのですが、これは若い頃なら出来なかったかもなあ、と思います。若い頃は短パンすら拒否していましたからね。

 大原さんはまだまだガッチリその楽ちんさに逆らっておられるのが実に頼もしく感じられました。粋って怠惰に流してしまうことに対する反逆の側面もあるんでしょうね。

 そんなこんなで、A-Rahoo Motorcyclesで一番良い被写体だったのはバイクもさることながら、代表の大原さんでした。

 近隣の皆さん、バイクでお困りのことがあったり、研ぎ澄まされたチョッパーに乗りたくなった際は是非A-Rahoo Motorcyclesの大原さんに連絡を取ってみてください。親身になってくれること間違いなしです。


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