お仕事インタビュー・音楽専門学校講師 峰原信介さん 2/3


 いつも通り思い切り話が脱線していくおしごとインタビュー、音楽専門学校で講師をされている峰原さんをお迎えしてお話を伺っております。

 今回も峰原さんのちょうど良い写真がないので猫写真であります。

(2/3)

伴:だから音響のプロの人たちとかっていうのは趣味領域…

峰原:そうですよね。

伴:個人が好きでやるところと、ゴリゴリ業務でとにかく普通の機材を…普通の機材ってどうなるんでしょうね。

峰原:今、音響さんの部分でもほぼ全てデジタル、デジタルミキサーなので…あとはマイクくらいですよね。

伴:アナログ…

峰原:アナログミキサー。ツマミたくさんアナログミキサー。

伴:デジタルミキサーって素人さんにどう説明します?

峰原:まずはボタンを押して、シャッシャッシャッてフェーダーが動いて、ほらすごいでしょって。

伴:でも回路がアナログでもムービングフェーダーありましたよね、一応ね。最後のほうに。

峰原:一応ありますけどね。それくらいじゃないと…あとは最低限アナログミキサーを理解してないとなかなかやっぱり取っつきにくいところがあるので。

伴:信号が上から、裏から入ってこう通って、とかって…オグジュアリのバスがあってとかいうのはね。

峰原:そこを理解してないと、中で何でも出来るんだよっていっても、はーん、みたいになっちゃうので…

伴:デジタル卓は全部コンピューターに入って、コンピューターで処理して、コンピューターから出てくるんだよっていうのが違いですけどね。ギターアンプとかのデジタルアンプもそうですよね。回路の中を通ってない…電源部とか別にしてね。その辺りのやっぱりデジタル卓…O2Rとかが僕最後でした。

峰原:O2Rありますよ、まだ。

伴:あ、ほんとに。O2Rが20年近く前でしたっけ。

峰原:だいぶ前ですね。

伴:ヤマハのね。今、どこまでいってるんですか、あの辺。また別シリーズですか。

峰原:全然別シリーズですね、デジタルミキサー。

伴:O1V、O2R…

峰原:それのさらに先のO1V96…96kHzまでいけるっていうバージョンがその先にあって、それのバージョン2…割と最近出たシリーズもまだありますよ。一応あのサイズが小さいのが好きっていう方もいたりとかして。

伴:あれでトラック数すごいでしょ。

峰原:結構いきますね。

伴:横に横に液晶がずれていくから…

峰原:どんどんいきますね。

伴:絶対使いづらいと思う。

峰原:まぁまぁそうですね。

伴:あそこからさらにエクスターナルで…なんかあれこれありましたよね、フェーダー追加したりインアウトつけたりありましたね、デジタルならではのありましたね。

峰原:とかもいけますよ。どんどんいけます。かなりいけます。

伴:デジタルね…こないだオーディオの話だから、石と管…トランジスタと真空管どっちがどうってなりましたけど。デジタル派ってやっぱり、アナログ卓派VS…

峰原:いますよ、いますいます。

伴:派閥みたいな…

峰原:ライブPAでいうと、デジタルじゃないと…ある程度でかい会場でないとデジタルじゃないともうどうにも出来ないので、基本的には。

伴:そうなんですか。

峰原:もう無理ですね。

伴:なんで?

峰原:まずは何十回線とかありますよね、それを卓まで引っ張るのにアナログの太っといマルチケーブル引くじゃないですか。

伴:こんなのね。

峰原:いまはあれLANケーブル1本なんですよ。

伴:え!逆に危なくないです?

峰原:一応それを二重でやるんですよね。なのでそれで100メートルとかいけるんですよ。

伴:LANケーブル?

峰原:LANケーブルなんですよ、LANケーブル。

伴:100BASE-Tとか1000BASE-Tとかって…

峰原:すべてLANケーブルです。ダンテシステムとか前あって…

伴:光ファイバーとかですらない、ただのメタル線…

峰原:そうですね、メタル線。で、やるんですよ。

伴:あ、そっか。データで送るから、データの量さえ確保できれば…

峰原:それを同じシステム上で映像の人とか照明の人とか同期させてとかすべてを行うので、アナログじゃもう仕事にならない。

伴:それはPAの人が客席の真ん中で、でかいとこだと後ろですけど…卓があって、照明さんとかも(PA卓の)横に大体くるでしょ。で、モニターの人は横にいますけど、こっち側とあっち側でLANケーブルで皆一緒に…やりとりしてるんですか?

峰原:なってます。まずはステージ上にステージボックスっていうのがあって、そこにまずはアナログでマイクケーブルがブスブス刺さってるんですよ。

伴:昔懐かしいスタジオの壁みたいな感じですよね。

峰原:あの感じで、あとはもう皆抜いてねって、LANケーブルからもう…

伴:裏がルーターみたいになってるんですか?

峰原:もう本当そんな感じ。

伴:まじで?

峰原:(このケーブルは)モニターでしょ、みたいな感じで。

伴:これは社会見学行きたいね、今度。

峰原:それを今度はノートパソコン上でパッチングをするんですよ。

伴:なにパッチングって。何を何に割り当ててみたいなやつ?

峰原:そうそう。誰がどこから抜いてるとか、そういうのを全部管理してるソフトがあって。

伴:それって、そのボックスを制御してるんですか?ノートパソコンをUSBにつなげて。

峰原:そういうソフトがあるんです。その辺でもまだ割と出始めなので、皆なんとなくでしかなくて…ようやくそれを上手く使いましょう団体が出来て、これから皆勉強しよう、しっかり公式見解出すからみたいな、ようやく始まったところくらいなんですよね、まだ。

伴:jpegみたいに策定委員会みたいな。

峰原:ようやく、みたいな。皆さんなんとかかんとかこうやってますけど、こういう場合は実はこっちのほうがいいです、へー、みたいな…実はこっちとこっちだとこっちです、とか。

伴:規格上こうなってます、みたいなやつだ。

峰原:ようやく出しました、ごめんなさい遅いですよね、とか。ようやくですよね。

伴:僕ね、辞め際にProToolsがライブレコーディングシステム出して、96チャンネルだか同時録音出来るよっていって、それのステージ側とPA側のやりとりがデジタルでケーブルになった姿…当時の記憶でだいぶ太っとかったイメージがあるんですよね…たしかプロツールス専用の。で、同時に録音できてすごいすごいっていってたところまでで記憶がブツっと途切れてるんで…

峰原:なので、今は録音もLANで全部…

伴:え、そうなの。

峰原:それだけです。とりあえず録れるので。

伴:もうマルチケーブルの部分は全部LAN…

峰原:そうです。

伴:あれって、でも不思議なんですけど今聞いてて。マルチボックスの部分が、もうそこにCPUがないと始まらないじゃないですか。

峰原:すごくラッキングされてるんですけど、ラックに入っててすごいでっかいやつで、そこにもう全てが詰まってるみたいな感じになってます。

伴:そのメインの部分とあと入出力で、1U、2Uとかって増やせるようになってる…

峰原:結構でかいですよ。

伴:最後はそこからLANケーブル繋ぐんだ、メインどころから。

峰原:とはいえ、一応録音もできるんですけどなんとなくなので、もしよっぽど予算がある場合は、ライブ用に別回線を組みます、アナログで、ステージ上に。ライブ用のマイクとレコーディング用のマイクがそこに存在する、なんていう場合が出てくるんです。

伴:なるほど。

峰原:レコーディングのほうはなるべくアナログでちゃんと引きたいよねなんて言われると、それ用のケーブルたちがドバッとまた別なのが…

伴:普通にマルチケーブルが来たりするんだ。やっぱりそっちのほうがいいんですか。

峰原:そういう場合もあります。そのほうが後でどうにか出来たりとか…別のマイクが使えるんで。

伴:確かにな…ライブとレコーディングで違うマイクを使いたいっていう時はありますもんね、きっと。

峰原:予算があるとそういう場合もあります。

伴:なんかね、すごいお金持ちになると、おうちの天井に暖房用と冷房用で違うダクトを這わせるらしいんですよ。すげーお金持ちで、お金が余ってると。

峰原:いいんですか?

伴:やると効率が良くて、より冷えてより暖まったりするらしいんですけど、無駄だから普通やらないっていってましたね。

峰原:すごい、そんなことやるんですか。

伴:それに似てますね。物凄いお金余ってる人だけがやるらしいんですよ、どうしてもお金使いたいっていう場合、じゃあやりますって工務店が提案するらしいんですけど。それだとどっちも効率よく、気持ちよく暖まって気持ちよく冷えるらしいですよ。

峰原:なるほど、そんなからくりが…

伴:日本ではセントラルヒーティング自体あまり見ないですからね。

峰原:そうですね。

伴:そんな時代になっていたのか…バンドがよく、前Twitterでよく流れてきた、マーシャルの壁を、ギターアンプとスピーカーの壁を…だけど後ろ見たら全部モックの…模型のやつで。

峰原:ありますね、ハリボテのやつ。

伴:1個だけ小さい112のキャビを鳴らしていますっていうのもよくありますよね。

 ギタリストにとっては12インチのスピーカー、ウーファーっていうのはすごい思い入れのある…マーシャルのキャビネット、マーシャルのスピーカーの部分は12インチが4発入っておりまして、そのスピーカーも試しました。

 わたくし、セレッションVintage 30というのが好きでして…オリジナルはG12-Tでしたっけ。結構シャビシャビしてるんですよね、あれね。同じセレッションのVintage 30というのに変えると、もうちょっとふくよかな音になるというか。ザック・ワイルドはエレボかなんかのめちゃくちゃ重たいやつを使っているとか、ありましたね。ザック・ワイルドモデルどうせ出たんでしょうね、きっと。

峰原:ありますよ。白黒のやつありますよ。

伴:あるんですか。めっちゃくちゃ重いんでしょうね、きっとね。

峰原:めちゃめちゃ重いです、あれ本当。

伴:とんでもないサイズの磁石ついてますよね、エレボのウーファー。

峰原:本当重いんですよね。EVM12…

伴:途中で、どっかのバンドのギタリストがもっと低音が欲しいって、15インチのエンクロージャー出しましたよね。

峰原:15インチありますね。使う人たまにいますね、たまに。

伴:あ、います?15インチ2発かなんかの。7弦8弦になってくるとね、どうしても…

峰原:下が出ますからね。

伴:どんだけマニアックな話なんだ…という感じですけどね。音響機材、キリがないです。

 エンクロージャー…スピーカー組むときに、ウーファーの好みってあるんですか?

峰原:ギター用ですか?PA用ですか?

伴:PA、PA。

峰原:PA…なんでしょう。自作となると大体、木になっちゃうので…安くしようとすると。あとは一枚板なのか合板なのかくらいしか選べないので…

伴:板…エンクロージャーの。

峰原:あんまり選択肢はそもそもないですね。

伴:そっか。そっちの外側というか、予算側でぐいぐい決まってきてしまう…

峰原:そうですね。ソロバン弾いてみると、意外といいスピーカーが買える値段になっちゃうとかなるんですよね。

伴:ガワで。

峰原:側とかも含めて、結構かかるので。

伴:あ、そうか。自作する総予算で見ると買っちゃうほうが早い…

峰原:みたいなことになっちゃうので…

伴:さすが専業はすごいなっていう。

峰原:あと労力あるじゃないですか。そう考えると、うーんってなるんですよね。

伴:買うかーってなる…なるほどね。そこにキャノンのカメラのコストマジックが…規模でコストダウン効いてきたり、いろいろありますもんね。トヨタ車とかね。なるほどね。

 面白いなー…自作も面白いですけどね。ギターのキャビにしても、単板のやつありますよね。

峰原:ありますね。

伴:箱鳴りがいいって。僕試したら、ちょっと鳴りすぎちゃって気持ち悪いなってなりましたけど。

峰原:確かにコントロールがなかなかね。

伴:ストラトでクリーンよりだったら、バリンバリン鳴ってちょっといいかなって思いましたけど。歪ませるとね、ちょっとコントロールしづらいかなってありましたね。

 そうなんだ…それも知識の膨大な積み上げですもんね。

峰原:そうですね。

伴:すごい…納得しちゃった。

 そうそう、アナログ卓での話でさっきちょっと思ったんですけど、アナログ卓とデジタル卓って音違うんでしょ?きっと。

峰原:違いますね。違いますよ。

伴:CD対レコードみたいな。

峰原:そう考えていいです。基本的にはそうです。

伴:それぐらい違いがある。

峰原:基本的にはそうですね。

伴:そんな違うんだ…

峰原:いいアナログと比べちゃうとそうですね。デジ卓のほうも、やっぱりデジタルものなんで、最新のもので高いものがフラッグシップが一番いいんですけど。やっぱ結構高いので…そうそう買い替えられるものではないですけど、まだ全然…比べちゃうと…デジタルかなって感じですよね。

伴:デジタルカメラとフィルムカメラで対比しちゃうけど、最近つくづく思うんですけど、デジタルの利点ってコストですよね。経済性がゴリゴリに効いてくるっていうのはデジタルの強みなんだけど、デジタルの高級品てなんか変な感じがするじゃないですか、あって然るべきなんだけど。

 要はフィルムで撮ってて思うのは、ランニングコストかかり方とか特性がちょっと違う…違うんだけど、フィルムは単純に高く見える。デジタルの方が初期投資がでかいんだけど、その後タダみたいに見えるっていうのはありますよね。結局デジタルである最大の利便性を生かそうと思ったら、そこそこのやつで最新のを買い続けるっていうのが一番…

峰原:そうでしょうね。

伴:コスト的にはね。だから最高級機を買って、陳腐化しちゃうっていうのは、オーディオ…じゃないPAの世界でも経営判断的に難しいところになりそうですよね。どうせ数年で…

峰原:そうですね、次出ちゃいますからね。

伴:10年保たないですよね。

峰原:全然保たないですね。

伴:ですよね。卓…でも便利なんでしょうね。

峰原:便利ですね。便利ですよ、本当。

伴:デジタル卓のイメージってムービングフェーダー、何々の曲の時に、はい、プリセット一番、みたいな。楽ちん、みたいなそういうイメージだったんですけど。

峰原:基本はそれでいいと思います。あとは最近のデジ卓だとパソコンと連動できるようになってきたりとかして。

伴:PAがずっとカチカチやってるんですか?

峰原:その世界にちょっと近いですよ。パソコンの中のプラグインを呼び出してとか…

伴:ちょっと待ってください。それってどこで効いてるんですか? デジ卓の中のDSPチップがありますよね、CPU入ってますよね。そこによいしょって、プラグイン送ってコンプレッサー…このモデルのコンプレッサーがとかって…

峰原:そういうのが出来るんですよね。

伴:どうせ規格があるんでしょ。

峰原:あります。そういうのでやりますね。

伴:VSTみたいなやつが。

峰原:そうなんですよ。っていうのが割と最近はトップの方のトレンドの一つ。

伴:ということは昔…フェスとかになると、バンドにお付きのPAが一緒にやってきて、俺たちはこのPAじゃないとってやってたじゃない。今はパソコン持って行けば…

峰原:そうですね。ですし、でかいフェスだと、この卓を使うからこの卓を用意しろって、バンドが言うんですよ。で、PAのところに卓が何枚もあるんです。

伴:もう待ってるの?

峰原:待ってるんです。次のバンドこれです。はーい。ガチョンって卓を入れ替えるんです。

伴:入出力は? ガッチョンでいいんですか?

峰原:デジタルなんでいけるんですよ。

伴:LANケーブル差し替えるとかなんかで…

峰原:いけるんですよ、極端な話それでいけるんです。

伴:それは便利だわ!

峰原:そうなんですよ、出来るんですよ。

伴:だって卓で音違いますもんね。

峰原:違います違います。

伴:あの音でやりたいからあの卓でってモデル指定…

峰原:ですし、ガチョンてやって変わりましたってなったら、エンジニアがUSBをブスって差すと回線データがバンって全部出るんですよ。

伴:どこに、何チャンネルに何ですってイコライザーがどうでって入ってるんですか? アサインされてるんですか。

峰原:もう入ってるんです。ピッてやったら終わりなんですよ。事前準備ができるんです。飛行機の中でカタカタやってくるんです、海外の人がヘイっていきなり出来るんですよ。

伴:カタカタは何をしてるんです?

峰原:回線1チャンネルはこれだよねとか、EQこれでこういう設定を作っておいてとか。

伴:実際に音出しながらとかじゃなくて、もう事前に。もう慣れちゃってるから出来ちゃうんですか。

峰原:全部です。これが基本のプリセットで、そこから微調整でもうできるよねって。フェスとか時間ないんで…

伴:だよね…そうなんだ…面白い。でもねPAの世界って、パブリック・アナウンスメントですよ。SRってなんでしたっけ。

峰原:サウンドリインフォースメント。

伴:途中ね、PAなのかSRなのかっていって話題になりましたけどね。PAを同じ機材でもアナログの卓とかでも、PAさんによって出音が全く違うっていうのが。あれは魔法みたいですけどね、僕らみたいなのからすると。いろいろ違うんでしょうけど、コンプレッサーの使い方から何から全部違うんですよね。

峰原:そうですね。

伴:人によって考え方が違う。イコライザーの設定が違うから違うとかっていう単純な違いじゃないんですよね。音圧が違うとかっていうのは…なんでしょうね。

峰原:イコライザーとコンプとかですよ、大体。ほぼ。

伴:しかないですよね。

峰原:それだと思っといていいですよ。

伴:イコライザーは、音の高音の成分、中音の成分、低音の成分を足したり引いたりするやつです。あ、高音が耳痛いっていったら、ハイを削りましょうかみたいな、本当そんな…いろいろあるんだけど、回路の中にいろいろあるんだけど…基本的にはそうですね。

峰原:ですね。

伴:あとコンプレッサーは音の粒を…

峰原:揃えたりとか、いろいろ…いろいろ出来るんですよね。

伴:スネアの音が、ミョーンってなったり…バスドラの音がドォーンてなったりする、いろいろマジックが…リミッターみたいに使ったり…僕もPAの本読んで勉強しましたよ、バーって。サイドチェーンっていうのがあるんだ、とかって。デパートで、アナウンスのお姉さん…アナウンスする時にBGMがぐっと音量が抑えられるのがサイドチェーンっていって、何dB以上の入力があった時には、コンプレッションを何対1で何dBでかけてっていう、それがサイドチェーンっていう…よく覚えてるんでですよ、それ。若い頃によく読んだんで。そういうサイドチェーンっていうのも…

 全くPAでは使わないでしょうね、サイドチェーンは。

峰原:最近、サイドチェーンとかが流行ったり、EM的なやつとか…ていうので使ってる人がいるっていうのもありますけどね。流行かもしれませんけど。

伴:でも確かに言われてみれば、コンプレッサーとイコライザーでほぼ終わり…

峰原:そうですね、ほぼほぼ。

伴:コンプレッサーのモデルが違うとか…コンプレッサーもパラメーター3つ4つしかないですよね。

峰原:そうですね、基本はそうです。

伴:そうだ。カメラマンが、カメラマンって何してんのって言われて、構えてポンで終わりじゃないのってそういうイメージで捉えられてるんだけど…それの説明もいつかしたいね。カメラマンのインタビューもいつかしたい。

 なんでかっていうと撮影するって行為の中に膨大な知識の積み上げと、やることがいっぱいあるんですよ、実は判断することが大量にあって。それと同じようにPAの人も、マイク立てて音をシャーって集めてきて、あとはこうやって音量の調節するだけでしょ? って(思われがちなんだけど)、いやいやカラオケじゃないんだよって話で。

 そこにアートの一役を担うだけのすごい技術がね、あるんで…いきなり「こうなります」で伝わるものじゃないかもしれないけど…でも例えばモデルさんに電話して、スタジオ遊びに来てもらって撮影しますよね。
 撮影の段階は何をしているか皆わかんないんですよ、とりあえずは。ライティングがどうとかってわかんないんだけど、とりあえずそれを写真のデータにして、RAW現像っていって、軽く処理してそこからフォトショに持っていって、ていう手順を追って見せていくと、写真が製品になってく感じっていうのがわかるらしいんですよね。

 だからドラムセット…ドスバス叩いてるけど、CDで聴くような「ドンドスバーン」になってないガチャガチャした生音…あれをマイクで録って、でも録っただけではまだガチャガチャした音が人工的になったっていうだけで、そこにコンプレッサーかましてイコライザーかましてって良い音にしていく…そこですよね、たぶん。技術って。

 これはいろんな人の職人芸的な部分を、話を聞こうというやつなので…社会見学系もいつかね、その仕事はやりたいと思ってます。職人芸ってどうやって若い子に叩き込みます?

峰原:まずは、しっかり…本当は現場に連れてってしっかり見せるといいんでしょうけどね。まず演奏の方でいうと、現場にまず行けないのがもどかしいっていうか、連れてけるような子がなかなかいないので…

伴:まずいんですか?

峰原:ちょっといろいろ…お作法的にもまだ全然出来なかったりとかっていうのもあって…

伴:名刺の渡し方とか。

峰原:そうですね、いろんなことに気が利かないとか、遅刻してくるかもしれないとか…

伴:お前、邪魔なところに立ってるんじゃねーよ、みたいな。いますいます、若いの。しょうがないですよね。

峰原:逆にPAのほうだと人手が欲しいので、八の字巻が出来たら、よし行こうっていって…

伴:俺も行ける。

峰原:行けます、全然行けます。とりあえず行かされて、巻いて、暇な時間ずっと立ってて、俺は何をしてるんだろうみたいな。本当はそこでたくさん学んで欲しいんですけど。

伴:何やったらいいですか、これ何ですかって。うるせぇ黙ってろ、みたいな。それでいいんですよね、本当は。そういうやつが一番かわいい。

峰原:それでいいんですけどね、なかなかそうはなれないみたいで…

伴:ですよね。でも好きで選んだ仕事でそれが出来ないのは、本人も辛いでしょうね、きっと。

峰原:そうですね。それでまずはたくさん行くと、何かしらは感じるところはあるようで、大体皆良い方向にいきますけどね。いかない子は悩んじゃって堂々巡りになりがちですよね。

伴:向いてないですよね、たぶん。

峰原:そうですね。

伴:たぶんね、楽しくないですよ。俺らって現場行ってマイク見てるだけで楽しいですからね。ワクワクしちゃいますけど、卓とか見てるだけで楽しいですけどね。デジタルのPA現場見てみたいなぁ。LANケーブル見るだけですけどね、その話によると。ここが入力でここが出力でって、間はLANケーブルですかって…。確かに太いのゴロゴロあるより安全ですもんね。

峰原:そうですね。

伴:昔は水道管みたいなね。ガッチャンって、グリグリって金属の輪っかで閉めるの、ライブ会場でよく見ましたけどね。あれじゃないんだ…

峰原:以前はそうです。ファンタム電源とか通ってたんで必ずインカムで、抜きまーすってやらないと、バーンすごい音するんでとかガチャガチャやってたんですけど、今は何にもないですからね。

伴:48ボルト…

峰原:そうです。プチ、プチって出来ましたー、終わり、みたいな。

伴:つまんないですね。

峰原:感動がないですね。

伴:あのスピコンが…ノイトリックでしたっけ。スピコンってスピーカーコネクタって規格があって、昔はただのフォンとかだったんですよね。

峰原:そうですね。

伴:確か死ぬやつがいるとかいう…kW出力だとえらい電流が流れてるとかで、だいぶ危ない、死ぬは言い過ぎかもしれないですけど。
 ストロボでも昔死んだやつがいるって伝説があって。バルカーのストロボのコンデンサーが爆発して、近くにいたアシスタントが死んだっていう…伝説なんで、それはわかんないですよ。でもPAでもスピーカー…スピーカーケーブルの抜き差しはだいぶビリッとくるっていう…

峰原:結構きますからね、確かに。

伴:でもスピコンになっちゃいましたからね。

峰原:そうですね、スピコン。

伴:スピコン使ってたら安全…スピーカーコネクタ。ノイトリック、賢いですね。

峰原:よく出来てます。

伴:ノイトリックのフォンの…あ、これもそう。キャノンのノイトリックのコネクタね、使いましたけど。いいですね。使いましたって使ってるやつ使ってるだけですけど。ノイトリック…最初読めなかった。


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